かなり以前になりますが、「手組みホイール」を作りました。
最近では少しマニアックなイメージさえありますが・・・
時々興味を持たれるお客様もいらっしゃいますので、ここでごく簡単にご紹介しますね。
※手組みホイールとは、ホイールを構成する各部品を別々に揃えて、
ショップで組み立てるものを言います。それに対して、メーカーでトータル設計され、
完成された状態で出荷されてくるものを「完組みホイール」と呼んでいます。
下の写真のように、ホイール外周部の「リム」、中央の回転部分「ハブ」、骨組みに当たる「スポーク」、スポークとリムの接合に使用する「ニップル」で構成されます。
これらの部品はたくさんのメーカーから様々な種類が発売されています。それを、乗り手の目的などに合わせて組み合わせ、設計します。今回はクロスバイクに使用するため、耐久性と乗り心地を重視した部品構成にしています。
まずは”あやとり”と呼ばれる工程です。ハブにスポークを通して、
ニップルでリムに仮止めします。
これをスポークの本数分繰り返して行きます。
詳細は割愛しますが、実は組み方が何種類もあります。求める強度によって、一本のスポークを別のスポークと何回交差させるのか。また、ブレーキの種類などによってホイール内部にかかる力の方向が変わるため、それも考慮しつつ最適な方法を選びます。
次は”テンション調整”です。スポークの張り強さを調整し、同時に”センター出し(自転車に装着した際に、リムが真ん中に来るように調整)”も行っていきます。
必要な工具は、写真右上の【センターケージ】左の【テンションメーター】下の【ニップル回し】です。
これらの作業は、ホイールを真円をチェックするための【振れ取り台】の上で行います。
スポークの張り強さを見ています。一本一本が許容範囲内になるまでテンションを上げていきます。
同時に、左右の張り強さを調整することで、リムのセンターを出します。
【テンション調整】【センター出し】、真円に近づけるための【縦振れ取り】【横振れ取り】をバランスよく行い、微調整を加えます。
こうしてできたホイールは、使用する部品や設計が本当に多様で、オリジナルの一本になります。
近年、特にロードバイクに使用する軽量ホイールは”完組み”が大半です。実際、トータル設計されたホイールは無駄がなくバランスに優れます。軽さ、強度、乗り心地、さらに価格の面で完組みホイールが主流になるものうなずけます。手組みホイールをお勧めするケースはそう多くありません。
でも、乗り心地、強度、オリジナリティを求めた場合には有効な選択肢ですね。
※手組みホイール作成は部品検討、組立に日数を要します。予めご了承ください。
鈴木 恒