下はディスクブレーキのローターですが、左が160mm、右が140mm径です。この直径が大きい方が同じ制動力を発揮させるにも少ない力(ブレーキレバーを引く力)で済みます。ちなみにマウンテンバイクではさらに180mm、203mmと大きいサイズがあります。
今回私のロードバイク(Emonda SLR Disc)のローター径をリアのみ160mmから140mmへ変更しました。取り付けてみるとパッと見は分かりにくいですね。
元々ロードのディスクブレーキコンポーネントが発売された当時はローター径は前後140mmが標準と言われていました。140mmの場合は同じ制動力を発揮させる為に必要な力(レバーを握る力)は、Dura-aceグレードのリムブレーキをアルミリムで使用した場合と大きな差がない設計となっています。(個人的にはむしろリムブレーキの方が初期制動が強く感じます。)
リムブレーキと大きな差がない事は、仮にリムブレーキからディスクブレーキに乗り換えた場合でも違和感のないライドを可能としますし、そもそも制動力自体はタイヤと路面のグリップで決まりますので、より少ない力で強力に制動させるマウンテンバイクの様なディスクブレーキはロードバイクでは必要としません。
ただ、より大きい160mm径では同じ制動を発揮させるにも140mm径よりも少ない力で済みます。その事はブレーキコントロールがより少ない力で行えるとも言え、急勾配の坂を下り続ける場合や体重のある方、または荷物を積むような場合においては160mmの方がメリットは大きいと言えます。
現在ロードバイクの完成車で前後160mmが標準となっているのは、多様な走行場面やライダーの体重を完成車メーカーが全て把握出来ない中で、幅広いゾーンをカバーするべく採用していると言えます。
その様な中、今回後輪のみ160mmから140mmへ変えてみた理由は、ライド中のブレーキコントロールをより自然にストレスなく行う為と、またその事がよしシビアな局面でもメリットとして発揮されるのではとの予想からです。
まず2輪車のブレーキの特性として抑えたい点が、急制動においてロックしやすいのは後輪という事です。ブレーキング時は前輪に加重され後タイヤはグリップが低下します。その状況下でリアブレーキを強く握ると簡単にロックします。オートバイでは教習所で教わる内容ですね。
コーナー通過中に後輪がロックするとそのまま横滑りで転倒する可能性がとても高くなります。よってコーナー通過中のリアブレーキは当て効き程度までリリースさせますが、この場面で一番危険なのが、想定以上にコーナーが深くブレーキをリリース出来ない場合です。この状況下でとっさに後ブレーキに意識を働かせつつフロントブレーキに頼って減速するのは至難の業です。
これは直線でのとっさの急制動でも同じ様な事が言えます。サドル後方へ腰を落としリアのグリップが抜けない様にする間もなく停止する場合、リアが滑る可能性が高まります。
この様な状況下のブレーキコントロールをレバー側(ライダーの操作)だけに頼ることなく、メカ側でもサポート出来るべく前後異径を選択しました。フロントは制動重視で160mm径、後輪はとっさのブレーキングでもグリップが抜けにくい様140mm径といった具合です。
よりシビアな状況下を考慮して前後異径を選択してみた、といった感じでしょうか。マウンテンバイクでは前後異径は一般的ですね。
とは言え、ライド中落ち着いて走っている限り前後同径で問題なくコントロールできますし、むしろ勾配のきつい下り坂では、より少ない力でブレーキング出来る160mm径のメリットが上回ります。十三峠や六甲山、裏大正池の下りは間違いなくそう言えるでしょう。
次回は実際走った感想、感覚を書きたいと思います!