店頭では新車の組み立てや定期点検と並行して、お客様バイクのオーバーオールを行っています。
オーバーホールとは、しばらく乗られたバイクを一度分解洗浄し、グリスアップ、さらに摩耗や劣化したパーツを交換する等して、新車の様なパフォーマンスを取り戻す作業です。
オーバーホールもどこまで分解するかにより複数メニューありますが、今回はコンプリートと呼ばれる一番工程が多いメニューです。
パーツを外したのち、ボルトやワッシャー、スペーサー等も1つずつウエスで磨きます。
綺麗にしたボルトや部品には、適材適所グリスや焼き付き防止剤、緩み止めなどを塗布していきます。
長い期間乗れる様にする為は、今後のメンテナンスを確実に行える様に組み立てる事でもあります。
錆が浮いている部品は、磨き込んで可能な限り錆を落とします。そのままにしてしまうと、今後外すことが出来なくなったりします。
ホイールのハブも分解洗浄します。ここもよく錆が発生する箇所です。
コンポーネントも分解し、1つずつ細かくブラシで手洗いします。ちなみにブラシも数種類使い分けます。
洗浄後はすぐにコンプレッサーで水分を吹き飛ばし、水置換性の潤滑油を注します。
かなり使い込まれているのが分ります。
こちらはフレーム側の掃除です。ベアリングを外し綺麗にしていきます。
洗浄のあとは組付けです。写真はベアリングの挿入の様子。
冬場はオーバーホールが増えるため、ベアリングを切らさない様ストックしています。
組み立て途中の様子は割愛しますが、完成したバイクがこちら!
2013年にご購入頂いておりますので、今年で丁度11年目を迎えました。
オーバーホールは今回で4回目。平均すると3年に1回の頻度です。かなりの距離を走行されています。
隅々までピカピカになりました。
表面だけでなく、バイクの内部(ベアリングやケーブル等)も完全にきれいになりましたので、これからまた長い期間安心して走る事が出来ます!
ちなにみこちらのバイクに採用されている6700系Ultegra(リア10速)ですが、それぞれの部品は生産終了しており、現在はリペアパーツのみ入手が可能となっています。
ただそれも、まもなく在庫限りとなるタイミングに差し掛かろうとしています。
今後継続して乗る場合は摩耗の早いチェーンリングやカセットスプロケット、プーリー等、消耗パーツはストックしておいても良い時期です。
※ものによっては完売終了しております。
オーバーホールは10,000km程度走られたら行う事をお勧めしますが(年式や規格により異なります)、ただこまめにチェーンの洗浄と注油を行っていたり、また消耗部品をマメに交換して頂いていれば、オーバーホールせずとも必要な箇所を都度グリスアップ(必要があれば部品の交換)を行う事で永くご使用頂く事も可能です。
今回は前回のオーバーホールから18,000km程走られていた事により、全体的に摩耗部品が多く分解洗浄も必要だった為、完全オーバーホールとさせて頂きました。
ちなみにオーバーホールで最も大切で難しいポイントは、ユーザー様の乗り方やこだわりのポイント、また大切にされているポイントを掴み、最終組み上げる際には完璧に再現していく事です。
乗っている側からすると中々気づきにくいですが、乗り手の特徴がバイクには表れています。しっかり再現して組み上げる点は、新車を組み立てる作業とはだいぶ異なります。
その様な点を見ると、ある程度走り込んで手を加えてようやく自分の1台になると言えるのかもしれません。
メンテナンスもお気軽にご相談下さいませ。
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日頃のサイクリングの様子はもちろん、年間1万キロ走るからこそわかる直感的なインプレッションもお伝えします。