最近ディスクブレーキのメンテナンスが増えていますが、今回は交換時期の限界を超えた状態のお持ち込みがありました。
右のパッドは完全に摩耗し、さらに台座の金属までかなり削れています。
パッドが無くなりベースの金属が直接ローターに当たっていた状態です。
もちろんこの状態はブレーキは効いているとはいえず、ブレーキレバーを握った際も「ギーギー」音が激しくなります。
削れてしまったローターです。
厚みは1.4mm程。交換時期は1.5mm、もしくはモデルによってはアルミ面が出てきたら直ちに交換です。
ブレーキパッド同様に均一には摩耗しませんのでギリギリまで粘るのは危険です。
こちらが交換した新品のローター。1.8mm程の厚みです。(メーカーにより異なります)
今回の様にパッドが完全になくなると、違和感というより異変に気付きます。
そうなる前にセルフチェック、もしくはお店で点検を受けましょう。
※ブログ下のリンクにて、チェックの方法や注意点などご案内しています。
さて、今回は10年程前のバイクです。キャリパーもクリーニングします。
(注)パッドがある状態でクリーナーをかけると、パッドに洗浄成分が染み込んでしまい、
制動力の低下、音鳴りの原因となるのでしてはいけません。
ディスクブレーキのパッドを外すと奥のピストンが見えます。
ブレーキパッドが減ると、減った分を補う様このピストンが出てきます。
ピストンが戻る量は一定なので、パッドの減りに関係なく一定のブレーキレバー操作が可能となります。
ピストンを出して掃除をします。掃除し終わったらピストンをしっかり奥に戻します。
ちなみに古いモデルはキャリパーを完全にバラす事も出来ます。
クリーニングを終えてブレーキオイルの交換です。
昔のタイプはこの様に蓋を完全に開けて作業します。構造を理解しやすいですね。
最近はディスクブレーキのロードバイクが増えてきましたが、小さなSTIレバーの内部にこの様な仕組みを内蔵します。
仕組みをしっかり理解し、小さなSTIレバーの内部でどの様な構造になっているのかよく考えないと、
形だけの作業となってしまいとても怖いですね。
これが重要な部品「ダイヤフラム」です。リザーバータンクの蓋の裏についいます。
密封状態のオイルタンクの中に浸されています。上でも書きましたがパッドが減るとピストンが出てきて油量は少し下がります。
自転車の場合タンクは空気が入っていない状態ですので、このダイヤフラムが膨らんだりしぼんだりすることで、
タンク内の圧力が変ることなく一定の密封状態を保ちます。
上手く出来ていますね!
そしてこれがシマノ純正のミネラルオイル。
ゴムシールや塗装に対して攻撃性がほとんどない事から、長期にわたり安心したブレーキ性能を発揮してくれます。
オイルを交換しながら気泡を全て出します。
入口から出口へと構造が複雑ですので、オイルの通り道を考えて向きを変えながら作業します。
油圧式ディスクブレーキの整備は自動車やオートバイがそうであるように、自転車でも専門的な知識が必要です。
とは言え”ブレーキ”として考えた時、安全で安心して使える仕組みであることに間違いははありません。
大切な事は、メーカーで既に組付けられたバイクを調整できるだけでなく、
ご購入後のメンテナンスやメカトラブルにしっかり対応できるのかといった点ではないでしょうか。
今後ロードバイクでも増える油圧式ディスクブレーキ。
既にディスクブレーキのモデルに乗っている方は勿論、これからロードバイクをご検討される方も、
ぜひ予備知識として下記もご覧くださいね!
・ディスクブレーキのパッド交換。※摩耗具合のチェックもご紹介。
・ロードバイクのブレーキパッドをレジンからメタルへ交換!※摩耗具合のチェックも詳しくご紹介。
・パッドとタイヤの交換
・ブレーキオイル交換
・ディスクブレーキのロードバイク、1万km以上走って徹底検証!
・ディスクブレーキの整備日記
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